〜ICP Hackathon Wave1 エントリー記事〜
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1. はじめに:ICPが注目される理由
ブロックチェーンの中でも異彩を放つICP(Internet Computer Protocol)ですが、得体のしれない何か、という認識で止まっている方も多いのではないでしょうか。まず最初に、EVMチェーン等と根本的に異なる特徴を4点挙げます:
- Canister Pays Model: ユーザーがガス代を支払わず、開発者が「Cycles」でコストを負担
- Full On-chain Architecture: フロントエンドまでブロックチェーン上にデプロイ可能
- Native HTTPS Outcalls: Canisterが直接外部APIと通信可能(従来のオラクルは不要)
let response = await http_request( "<https://api.example.com/data>" );
- Threshold Signing: Threshold ECDSAとThreshold Schnorrの2つの署名方式をサポートすることで、他のチェーンのトランザクションに署名ができます。これにより、Canisterは他のブロックチェーン上の資産をネイティブに保持することが可能になります。
他にもICPの特徴は様々ありますが、個人的にはこれらをスマートコントラクトやオフチェーンのActorに頼らず実現しているのがICPの一番の差別化ポイントだと思っています。
本記事では、ICPが「開発者体験(DX)」と「ユーザー体験(UX)」の両面で優れていると思ったプロダクトのリサーチメモを共有します。
2. 開発者視点(DX)で面白いプロダクト
2.1. CycleOps:Gasless UXを実現する自動補充システム
「ブラックホールキャニスター」を活用した監視システムを採用。特徴は:
- CyclesのAuto-refill:
rule "maintenance" { when cycles < 1_000_000 top_up 5_000_000 }
- CanisterのCycles Burn Rateなど監視機能
- SNSなどの監視機能もある
ICPの特徴であるCanister Pays Modelをうまく運用するために必須のツールだと思いました。
SNSの監視機能もあるようですが、Xなどの有名なものではなく、ICP上にデプロイされているものがメインのようです。
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2.2. Canistergeek
似たようなツールとして挙げられるのが、Canistergeekです。
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こちらはcasnisterの監視機能がメインで、機能の一部としてcycles top-upもついているというような印象を受けました。より包括的な管理が行えそうです。
Burn Rateやメモリ使用料、logの閲覧なども可能で、これらはEVM系では見かけない概念なので、面白いです。
3. ユーザー視点(UX)で面白いプロダクト
他にもユーザー体験として面白いと思ったプロダクトをいくつか紹介しておきます。
3.1. dscvr
https://dscvr.one/
SNS. EthereumでいうFarcaster?
3.2. Nuance
https://exwqn-uaaaa-aaaaf-qaeaa-cai.ic0.app/
Blogシステム。フロントエンドまでオンチェーンにdeployできるICPならではのサービス。
認証はInternet IdentityだけでなくGoogleもあるのが良いと思った。
3.3. Usergeek
https://fbbjb-oyaaa-aaaah-qaojq-cai.raw.icp0.io/
Canisterが何人のユーザーに使われているかを解析するプロダクト
Canistergeekと同じ開発元で、他にも~geekという名前のプロダクトがある。
3.4. Orally
Onchain Oracle across chains.
https://orally.network/
ただ、Canisterから直接External HTTPリクエストができるICPにおいて、あえてオラクルを構築する意義が疑問。
4. 最後に
リサーチのためにspreadsheetを作成しました。
といっても以下のページをスクレイピングしただけなので特に付加価値はないです。
300以上のプロダクトが載っているので眺めてみてください。それでは。