ETHGlobal Taipei 2025(4/3~4/6)に参加してきました。人生初ハッカソンで運良く入賞できたので、経験談と感想をば。
どんな風にチームができて、どうやってプロダクトを作り、どんな工夫があって、なぜ入賞できたのかを、自分の目線で書いていきます。
これからハッカソンに挑戦してみたい人や、海外のエンジニアイベントに興味がある人の参考になれば嬉しいです。
目次
目次プロジェクトについてプロジェクトページGithub Repository概要チームについてメンバーと役割チームとの出会い戦略と準備3週間前:「テーマ・構成・技術・プライズ候補」を確定2週間前: 各技術のキャッチアップとプロトタイピングを実施当日の動き1日目(3/4):スタートダッシュ2日目(3/5):プロダクト完成3日目(3/6):Yamaguchiさんが死にかけで最高の資料を作る考察: 入賞に繋がった要因完璧な役割分担目標にする賞を明確にしたMultibaas Spreadsheet一本勝負が刺さった?CCTP V2 Hooksを使える人があまり居なかった?費用と体験の話総括
プロジェクトについて
プロジェクトページ
Github Repository
curvegrid-payroll
foxytanuki • Updated Apr 8, 2025
概要

会計業務と関わりの深いスプレッドシートを Multibaas Spreadsheet を使ってオンチェーン処理が可能な形にしつつ、CircleのCCTP V2を活用することでクロスチェーンかつUSDC以外のトークンでも給与が受け取れるというプロダクトです。
チームについて
メンバーと役割
Natsuki Yamaguchi さん
- Komlock Lab CTO, CryptoGames Technical Lead
- プロジェクトマネージメントや各プロジェクトへの質問や相談、資料作成など開発以外のタスクを全て引き受けてくださいました!
Takuma Abe さん
X(Twitter): takupesoo
- Komlock Lab VPoE, バックエンド&ブロックチェーンエンジニア
- Curvegrid Mutibaasを用いたSpreadsheet及びGASの構築を担当してくださいました!
foxytanuki(この記事を書いている人)
- Mycel Labs Core Developer
- CCTPV2の利用を前提とした給与支払いシステムのスマートコントラクト実装(Solidity)を担当しました。
チームとの出会い
Xで、僕からお二人にDMを送ったのがきっかけです。
たまたまHARUKIさん、YamaguchiさんとAbeさんがETHGlobalについてのスペースを開かれており、作業がてら聞いていたら、お二人のテンションや雰囲気がとてもよく、ぜひご一緒したいと思いました。
元々ETH Global Taipeiに出る予定はなかったのですが、快く受け入れてくださったお陰で、すぐにハッカソンに向けて気持ちを切り替えることが出来ました!
戦略と準備
ETHGlobalに向けて、3週間前から準備を開始しました。
3週間前:「テーマ・構成・技術・プライズ候補」を確定
- Komlockさんがステーブルコインに力を入れていきたいそうで、CircleのUSDCをメインにしていきたいとのことでした。予め希望があったのでテーマが決めやすかったです!
- 僕自身もCCTPを業務で使用したことがあり、CCTP V2を試してみたいという点でも意見が合致しました。
- マルチチェーン対応の給与支払いシステム を作ろうと決めたのもこの時期です。
- Curvegridに関しては、面白そうという話はしていましたが、この頃は賞を狙うという話はしていませんでした。
- この頃には既にそれぞれの担当範囲が確定していました。
- Yamaguchi: PjM
- Abe: フロントエンド
- foxytanuki: スマートコントラクト (バックエンド)
2週間前: 各技術のキャッチアップとプロトタイピングを実施
- フロントエンドをReactなどで作る予定でしたが、CurvegridのMultibaas Spreadsheetが相性がいいのではという話になり、チームで調査を始めました。
- Abeさんが爆速で調査してくださり、これは行ける!ということで、フロントエンドはMultibaas Spreadsheetオンリーで挑むことを決めました。(ファインプレー)
- この頃にはCCTP V2のキャッチアップは終わっていました。
- その際のリポジトリも公開しています: cctp-sandboxfoxytanuki • Updated Mar 22, 2025
- 当時のツイート
- 通話は週一でしたが、Discordでほぼ毎日会話し、タスクの切り出しや情報の共有をしていました。とても活発に動いていて楽しかったです!
- オフラインの飲み会にもお誘い頂いて、事前に対面でコミュニケーションが取れたのも心理的安全性の面でよかったです。
当日の動き
1日目(3/4):スタートダッシュ
- Registration開始とほぼ同時に入場
- 公式の作業開始時間の21時まではSwagを集めたりのんびり
- 21時からはスマートコントラクトの開発を始め、この日の内にほぼ完成
- 想定より早く開発が進み、順調
- Yamaguchiさんは資料作成
- たしかプレゼン資料がほぼ完成していてびっくりした記憶があります
2日目(3/5):プロダクト完成
- 出来たスマートコントラクトをtestnetにデプロイし、Multibaasに接続
- AbeさんがそのスマートコントラクトをSpreadsheetに繋ぎこみ、ひたすら動作検証
- この日のうちに完成。すごい。
- Yamaguchiさんは引き続き資料作成とCurvegrid, Circleブースへの聞き込み
3日目(3/6):Yamaguchiさんが死にかけで最高の資料を作る
- 日付が変わった辺り(深夜)にCurvegridの方にフィードバックをもらう
- 既にいい感じだけど、Multisig対応が出来たらもっと良いかもというアドバイスを頂く
- 1時間ほどかけてCurvegridの方々とMultisig実現についての調査をする(本当にありがたい)
- 我々のチームが作業していた席まで足を運んでくださってました
- みんなでパソコンを広げて調査している姿はまさにハッカソンという感じがして圧巻でした
- 夜0時〜朝7時までかけてMultisig対応 (資料, スプシ, コントラクトすべて)
- この時間帯が一番つらかった
- 眠い
- 実装が間に合うかわからない
- ホテルのチェックアウトもしないといけない
- Yamaguchiさんは虚ろな状態でゾーンに入ったまま最高に分かりやすい資料を作ってくださってました
- 寝る時間もないままピッチに突入して、途中からアドレナリンが出て目がバキバキでした
考察: 入賞に繋がった要因
完璧な役割分担
- 自分(foxytanuki)はSolidityとスマコンだけ。他のコードは一切触らない。資料作成もしない。ブースへの質問も行かない。
- AbeさんはスプシとGASとMultibaasだけ。スマコンはMultibaasで触るだけ。
- Yamaguchiさんはコードを全く書かず、完全に非開発領域を担当。
- CurvegridやCircleブースへYamaguchiさんが積極的に足を運んでくださってました。
- 僕の代わりに質問も行ってもらいました(大感謝)
→ 技術の横断がないのに連携はスムーズという、理想的な構成が完成。全員が技術者なので、それぞれのタスクの概要をちゃんと理解していたのも良かったです。
目標にする賞を明確にした
- 今回受賞した賞は、どちらも明確に狙っていた
- Circle
- Implement Hooks for CCTP V2 Transfers
- Curvegrid
- Best Overall Use of MultiBaas と Best Use of MultiBaas Spreadsheet のどちらか
- パートナーの中でもいくつか賞があり、なんとなくUSDCを使おう、ではなく、USDCのCCTPのV2のHooksを使ったこの賞を取ろう、という具体的な目的志向がよかったのではないか
Multibaas Spreadsheet一本勝負が刺さった?
- フロントエンドをスプレッドシートのみにしたプロジェクトは他になさそう(要調査)
- Multibaas Spreadsheetの機能をそのまま使うのではなく、GASを駆使して、機能拡張をした
- AbeさんはMultibaasに完全集中できた
CCTP V2 Hooksを使える人があまり居なかった?
- CCTP V2は2025年3月リリース(ETHGlobal Taipeiの1ヶ月前)
- CCTP V2のHooks実装はtutorialやe2eのexampleなど親切な情報がない
- そもそもCCTPについて理解していないと、ハッカソン期間中に上記のコントラクトの仕組みを理解するのも大変だと思う
- 審査員の方々もHooksのことをあまり知らず、概要を聞いて驚いていたので、そもそも知ってる人があまり居なかったのかも
費用と体験の話
- 滞在期間:4/3〜4/7
- 費用:航空券+ホテルで約10万円
- 入賞したことにより賞金で相殺された
- たとえ相殺されてなかったとしても、コストに見合う体験だった
- 食事・ドリンク完備(ちゃんと美味しい)
- ゲームスペース、太極拳体験イベントなどあり
- 太極拳体験が一番楽しかった
- 普通の旅行で太極拳を習うことはないので、機会を与えてくれたETHGlobalに感謝
- 体も頭もリフレッシュできて良かった
開発に集中できる環境として、かなり理想的でした。
総括
今回のハッカソンは、「理想的な開発体験」として心に残りました。
- チームの空気と分担が完璧だった
- 事前準備が功を奏して当日は余裕を持って動けた
- 技術的チャレンジを逃さず拾えた
- 成果物に納得感があった
「何が起きるか分からないイベントで、どこまで準備しておけるか」
「それぞれが自分の領域を極めて、どう噛み合わせるか」
それがちゃんと成果に繋がるという経験は、何よりも自信になりました!
もしこの記事がハッカソン出場へのきっかけになれば嬉しいです。気になることがあればDMもらえると嬉しいです🥰
↓ 最後に、今回のチームメンバーのお二人が所属している会社、Komlockについてのご紹介です!
Komlockはブロックチェーンに特化したWeb3開発会社です。
ハッカソン費用の給付などエンジニアがスキルアップできる環境を提供することで、優れた開発力を持ったエンジニアの採用に力を入れていきます!
website:
X :
web3案件を探しているエンジニアの方、開発パートナーを探している企業様はDMお待ちしてます!
不定期もくもく会の情報発信などもしておりますので、是非是非フォローお願いします。